以下のテキストには”ネタバレ”を含んでいます。閲覧にはご注意ください。
前作(グリム兄弟)から1年も経たぬ間にテリー・ギリアムの新作が観られるとはね。これだけでも思わず両手を合わせてナンマンダブと唱えてしまうほど嬉しいのに、内容がね、黒ギリアムによる黒アリス、ですよ。いや、もう、涙ちょちょぎれるほど嬉しゅうございました。ことぶき。ことぶき。
かわいいかわいい娘をほっぽり出して勝手に旅立っちゃう母ちゃん&父ちゃん。三池崇史の『牛頭』に出てくるひろかず旅館の姉弟を思いおこさせる隣家の住人。主人公の友だちでありシモベである4人のバービー人形(の頭)。……と、登場人物はこれがもうヤバいぐらいに素敵な人たちばかりなのですが(笑)、それよりも、もうね、主人公のジェライザ=ローズを演じたジョデル・フェルランド、このお嬢ちゃんが凄いのですよ。凄すぎるのですよ。撮影当時9歳だったそうですが、映画史上最強の9歳少女と呼んでも過言ではありますまい。
ジェライザ=ローズの目に映る現実世界と脳内世界が分け隔てなく地続きで映像化されているところが、また凄い。ここまでが現実でここから先が妄想ってことがハッキリわかるのに、その境目が見えないのです。じつに自然な形で「少女の妄想」がそこに存在するのです。こんなシーンをいともたやすく作ってしまう(ように思わせる)ギリアムは、映画史上最強の妄想変態オヤジと呼んでも過言ではありますまい(笑)
いや、ホンマにね、至福な時間を過ごさせていただきましたわ。ことぶき。ことぶき。