みやこの日常、世間の非日常

タイトルどおり”殺し屋”をテーマにした、5人の監督の競作によるオムニバス映画。

この手のショート・ムーヴィーの場合、個々の作品の面白さももちろん大事なんですが、わたしの場合、その作品が”ショート・ムーヴィー”足り得てるのかってところに目がいっちゃったりするんですね。……我ながらイヤな映画ファンやと思います（笑）

例えば、きうちかずひろ監督の『Pay Off』と大川俊道監督の『CANDY』は、なるほど確かによくできてると思うし、そこそこ面白いんですよ。けど、この両作品をひとつの完結した作品として見ようとすると、ソレは違うやろと。どちらも、別のもっと大きな作品の一部として考えたくなっちゃう。ラストシーンの後にバ〜ンとタイトルが出て、ここから始まりまっせってした方が収まりよさそうに思えるんです。つまり、”ショート・ムーヴィー”ちゅーんは、”それ以上”の何かを感じさせたら失敗なのでは？ というのが、わたしの持論なんですよね。あっ、やっぱりイヤな映画ファンや（爆）

ここで誤解しないでほしいのは、その物語をふくらませて長編にしたいっちゅーんは全然OK、ってことなのよ。最初っから、長くできる話を時間に合わせて短くするんがダメなわけ。逆もまた然りで、30分で収まる話をダラダラ引き延ばしたりするんも性に合わん。『ラーメンバカ一代』が2時間もあったらイヤでしょ（笑）

そこんところを踏まえれば、辻本貴則監督の『PERFECT PARTNER』は”ショート・ムーヴィー”としては成功してると思えます。けど、途中でネタが割れちゃうところがもったいない。ちょっと喋りすぎたかなって感じ（”饒舌”と”いらんこと言い”は似て非なるものナリ）。『KILLER IDOL』は”ショート・ムーヴィー”として完結してるし、ネタ的にも好み。河田秀二って名前は覚えとかんとアカンね。

押井守監督の『.50 Woman』は、こりゃもぅなんちゅーか、”ショート・ムーヴィー”じゃないと成立しないネタですわな。それを見事にまとめあげてるあたり（しかも、”押井色”を全面に押しだして！）、伊達にアニメの30分番組を作り続けてきたわけやないなと。これは押井さんの実写作品としては間違いなく最高傑作だと断言しちゃいます。

ただし、この作品、わたしのようなスレた押井ファンなら問題ないねんけど、はたしてフツーの人に受け入れられるんでしょーか？（笑） 仁乃唯ちゃんのいつ終わるとも知れないコンビニ・フーズとの格闘及びデータの羅列は、わたしのような20年来の押井ファンにとっちゃ快感以外の何者でもない、拍手喝采、スタンディング・オベーションも辞さないぐらいに素晴らしきモノなのですが、例えば水玉れっぷう隊のファンの子がコレを見た場合、どんな反応をするんでしょ？ ……ま、わたしが心配したってどうなるものでもないんですけどね（笑）