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以下のテキストには”ネタバレ”を含んでいます。閲覧にはご注意ください。

日本沈没の画像です。

この映画は1974年のお正月映画として公開され、当時の興収記録を更新するぐらいの大ヒットを記録しました。今から思うと、よりにもよって日本が滅びちゃうって、こんな縁起でもない映画をよく正月早々から観たもんやと思います(笑)

となり町の東宝セントラルって劇場で母と一緒に観たのですが(まだ地域にひとつは東宝の封切り館があった頃の話です)、場内は超満員で空いてる席がなく、わたしと母は最後まで立ちっぱなし。当時は既に映画産業は斜陽に入ってると言われてましたが、それでも映画館の通路までビッシリ人が埋まるって光景は、それほど珍しいモノではなく、キャパ数百人〜1000人以上の劇場でも立ち見で観たことが何度もありました。今からでは想像もつかないでしょうけど。

わたしは子供の頃、怪獣映画ばかり観てたのですが(今でもあまり変わっちゃいないって、、、汗)、そんなわたしが初めて接した”大人の映画”が、この『日本沈没』でした。わたしは小学校の6年生で、中学に上がると大阪市内まで洋画を観に行くようになり、東宝チャンピオン祭り目当てに足繁く通っていた東宝セントラルからは足が遠のくようになりました。もしかすると、この映画館で映画を観たのは『日本沈没』が最後だったかもしれません。数年後には、映画館自体なくなっちゃったし。最後といえば、母と一緒に映画を観にいったのもコレが最後だったように思います。

もう少し昔の話を続けますが、2度目に劇場で『日本沈没』を観たのは、封切りから10年以上も経った1985年のことでした。場所は、関西では尼崎東宝、新世界東宝敷島と並んで特撮映画の三大聖地と呼ばれていた伊丹グリーン劇場。その前年から、”グリーンリボン賞”という自主制作特撮フィルムコンテストが催されており、第2回目の85年は審査委員長に中野昭慶特技監督を迎えて開催されました。そのときに、中野監督が関わった作品による特別オールナイトが行われ、そのうちの1本が『日本沈没』だったのです。

85年といえば、そう、我が阪神タイガースが21年ぶりの優勝を決めた年。そして今年(2003年)、タイガースがそのとき以来のセ・リーグ制覇を成し遂げた年に『日本沈没』のDVDが発売されたとは、歴史というのは不思議なモノでございますねェ。……って、なんでもタイガースに結びつけるのはやめろって!(笑)

さて、『日本沈没』といえば、田所博士(小林桂樹)と小野寺(藤岡弘)って印象が強かったんですが、今回あらためて見直してみると、田所博士は後半ほとんど姿を見せませんし、小野寺にもコレといった派手な見せ場がないんですね。その代わり、他の登場人物たちの活躍が目に付きました。

まずは、山本総理役の丹波哲朗。ノーシンのCMでも使われた「門を開いて避難者を宮城内に入れてください」ってセリフだけは覚えてたんですが、ひとつのシークエンス内でテンションを思いっきり上下させる、いわゆる”丹波節”が全編通してサクレツしていて、特に渡老人(島田正吾)との「なにもせん方が、ええ」のシーンは、マジでスゴイの一言につきます。このシーン、カメラの切り返しによる撮影やと思ってたんですが、オーコメの橋本幸治さんのお話によると、カメラ2台で通しで撮ってたんですと。森谷司郎監督は島田正吾さんの”間”を活かすためにこーゆー撮影方法を選んだらしいんですが、丹波さんはじつに絶妙のタイミングで目に涙を浮かべ、その涙目がもっとも効果良く写る方向に(故意か偶然かわかりませんが)顔を向けるんですね。これはもぅ、日本映画史上に残る名シーンだと、わたしは思います。

あとは、D計画の主要メンバー(滝田裕介、二谷英明、中丸忠雄、村井国夫…)が揃いも揃ってカッコいい。ってゆーか、カッコ良すぎる! 田所博士や山本総理もそうですが、オッサンたちが、一人でも多くの日本人を救おうと動き回る姿は、ホンマ、熱いです。滝田裕介扮する幸長なんかは、ファーストシーンからずっと出てるし、要所要所で印象的なセリフがあったりするんで、なんの先入観もなしにこの映画を観たら、彼が主役だと思われるかもしれませんね。

特撮については、正直ツライ部分も多々あります。特に終盤の日本が沈みゆくところを描き切れてないのが、痛い。とにかくスケールが大きすぎて、しかたないのはよくわかるんですが。なにしろ相手は”日本列島”なわけで、衛星軌道からの視点でしか全貌を把握できないわけで、怪獣がビルを壊すような”わかりやすさ”は望むべくもないんですね。その他の、たとえば冒頭の深海艇が日本海溝に降りていくシーンとか、前半のクライマックスである東京大地震の家屋が破壊されるシーンなんかは、すごく良くできてたと思います。中野監督お得意のコンビナート炎上シーンとかもね。ただ、やっぱり、最後の最後がよくわからんまま終わっちゃったのが残念です。コレは映画館で初めて観たときにも思いましたが、「えっ、もう日本は沈んじゃったの?」って、なんかトートツに終わった感じを残しちゃうんですよね。

オーディオコメンタリーは、原作者の小松左京御大に、中野昭慶特技監督、本編の助監督だった橋本幸治のお三方。聞き手の倉敷さんは手慣れすぎたためか、『怪獣大戦争』や『怪獣総進撃』のオーコメでは作品に関係ないことばかり聞こうとして困ったモノだったんですが、今回はちゃんと仕事をこなしてます。いや、こなさざるをえなかったと言うべきか。脱線しかけても他の人(主に小松さんですが)が画面にダイレクトに反応して、話をそこに戻してくれるんですよね。今後も倉敷さんが聞き手を続けるなら、お相手は複数でお願いしたいもんです(笑)

小松御大はお歳のせいか、はたまたご家族のことでの心労のせいか、言葉が聞き取りにくい箇所が随所にあったものの、話自体はあいかわらず面白かったです。最後に渡老人が姪の花江に「見せてくれ」というセリフが無かったのが、ささやかなご不満なんだそうで(笑) 余談ながら、花江役の角ゆり子さんは数年後に『鳴呼!おんなたち/猥歌』で”見せてくれ”たんですが、小松さん観たんやろか?

映像特典は、特報・予告編の他に、小松さんと地球物理学者・竹内均さんのスペシャル対談。小松さんは『日本沈没』を執筆する際、竹内さんにイロイロ教えを賜ったんだそうな。また、竹内さんは特別スタッフとして映画にも参加し、出演までされてます。竹内さんは小松さんよりお歳が上なんですが、どう見ても竹内さんの方が若く見えるし言葉もハッキリしてる。やっぱり小松さん、ご家族のことでの心労が…(って、もうソレはいいって!)

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